あじあ食堂車 シ8  Dining Car Type8
食堂車レストランあじあ
特別急行あじあは1934年(昭和9年)11月1日から、1日1往復運転の定期列車として、大連駅と新京駅の間を所要時間8時間30分で結ぶ
高速運転を開始しました。運転開始時のダイヤは、大連駅発の下り11列車が9時00分に大連駅を発車、新京駅到着が17時30分、新京駅発
の上り12列車は新京駅10時00分発車で大連駅到着が18時30分という昼行の列車設定となっていました。

特別急行あじあの運転開始時のダイヤでは、上り11列車、下り12列車とも始発駅出発時刻が、乗客の宿泊ホテルでの朝食後の時間に設定
され、それぞれの列車が夕食の時間までには、終着駅へ到着するダイヤであったため、食堂車では乗客に昼食と喫茶を提供する営業を行っ
ていました。特別急行あじあの哈爾濱駅への延長運転が、1935年(昭和10年)9月1日のダイヤ改正で始まると、大連駅と哈爾濱駅の間の
所要時間が12時間30分になりました。終着駅への到着時刻が22時30分となったために食堂車では夕食の提供営業も始まりました。
特別急行あじあ乗務員が使用したペーパーナイフとはデザインが異なる(画像は縮小)
                              S田鉄道博物館蔵
あじあ食堂車のマッチラベルでは、経年
から木製のマッチ箱本体が原型を留めて
現存している物は、あまり無く珍品
          S田鉄道博物館蔵
裏面にはRestaurant Asiaの彫り文字が見られる
(画像は拡大)
特別急行あじあ食堂車シ8の車内で使用されたペーパーナイフ(実物大)           S田鉄道博物館蔵
現存数が最も多いスタンダードなタイプの
満鉄食堂車マッチラベル
         S田鉄道博物館蔵
特別急行あじあを牽引して大カーブを疾走
するパシナ981を濃藍色のパシナブルーで
描いたあじあ食堂車のマッチラベル
           S田鉄道博物館蔵
レプリカには要注意!満鉄グッズ
金属製食器では社紋が真ん中
に均一な力で打刻されている
(画像は拡大)
満鉄マーク付の日用品は偽物も多いので
購入にあたっては注意が必要です。
グラスなどのガラス製品に擦りガラス加工
でマークを入れたものなどを良く見かけます
が、それらのほとんどはレプリカで中国の
大連で土産物として日本人観光客向けに
売られている品物です。しかしオークション
などにはレプリカとはハッキリ明記せずに
出品されているのを良くみかけます。
木製看板や湯飲みもレプリカがあります。
マークが打刻された金属の製品でも打刻を
捏造した品物などもありますから単に刻印
の有無だけでなく、刻印の大きさや打刻が
曲がっていないか、大量に同じ品物が無い
かなどのチェックが必要になります。
物の真贋がハッキリしない時は高額入札
や高額での購入は避けるのが得策です。
満鉄食堂車使用のバターナイフ・カレースプーン・フォーク(実物大)
あじあ食堂車で使われた純銀のメッキが施された新潟県燕市生産の洋食器が用いられていた
                                      S田鉄道博物館蔵
満鉄は乗客へサービスに力をいれており、あじあ号や主要
な各駅に日付入りの記念スタンプを配置していたが乗客は
食堂車のドリンク用紙製コースターを貰って「あじあ」の
乗車記念や各駅オリジナルの駅名スタンプをコースターに
押して旅の記念に持ち帰った
          1938年   S田鉄道博物館蔵
満鉄食堂車使用の網目模様の湯飲み茶碗(実物大) 1937年頃   S田鉄道博物館蔵
同裏側(実物大)
マークは小さい
満鉄食堂車使用のスプーン(実物大) 
        S田鉄道博物館蔵
The South Manchuria Railway Co., Ltd.
シ8の料理室には冷蔵庫・食用品庫・氷箱・料理かまど・保温器・流しなどが並んでいるのがわかる
車内に積み込まれたビール・サイダー・タンサンなどは冷蔵庫に保管、料理は保温器で保温された
料理室と配膳室を合わせると厨房の
長さは6m80pと広く、料理かまどの
下部には2器の石炭オーブン、上部
には引き戸付きのフードストッカー、
サイドには保温器が設置されていた
コンロ上には大鍋のほかフライパン、
ソースパン、上から吊るされた複数の
オタマなどの各種調理器具が見える
完成時のあじあ食堂車シ8(1935年) 室内が明るい造りのシ8は定員36名で4人掛けと2人掛けのテーブル各6卓づつが配置されていた
                                                    S田鉄道博物館蔵
あじあ号の豪華なる食堂車と題した満鉄製作の絵葉書はモデルを使っての撮影
                        S田鉄道博物館蔵
満鉄食堂車使用の小皿(実物大)1937年頃  S田鉄道博物館蔵
ハムエッグス(45銭)・パン又はトースト・バター附(20銭
駅弁(40銭)に比べ割高だったが、広い食堂車では満鉄社紋入りの皿に盛り付けられた料理を優雅に味わうことが出来た
当時の食堂車メニューを見るとライスカレーが30銭となっている。特別急行あじあの運転が開始された1934年 (昭和9年)の一般的な大衆食堂に
おけるライスカレーの値段は約10銭であったから、満鉄食堂車のメニューは、大衆食堂と比べると約3倍もの高価な値段がついていたことが判る。
また、メニューでは、ロースハムを使用したサンドウイッチのほうが、ビーフステーキ野菜添えの値段より10銭も価格が高い事に目を引かれます。
現在の物価に当てはめますと10銭が約500円となり、ライスカレー1500円、ビーフステーキ野菜添え2500円、サンドウイッチ3000円
と当時の特別急行列車に連結された満鉄食堂車での食事が、とても贅沢な食事であったことが判ります。

フライエッグ、カツレツ類、ビーフステーキ、親子丼の具、ハヤシライスやライスカレーのルウなどは満鉄の食堂営業所のおいて、あらかじめ調理
されたものが出発前に食堂車へと積み込まれていました。食堂車の料理室にはコークスを使用した石炭レンジと石炭オーブンが設置され料理は乗客
への提供直前に必要に応じてフライパンで軽く揚げなおしたり加温するなどしてから皿へと盛り付けられていました。料理室ではサラダ等の簡単な
調理を行ったほかスープやご飯、ルーなどの保温を行いました。氷を使った冷蔵庫が料理室に1か所、配膳室と客席の間に2か所ありました。
Copyright (C) 2003-2018  Hakubutukantyou All Rights Reserved
南満州鉄道株式会社